令和5年弁理士試験の最終合格の発表がありましたね。
 私の場合、論文試験の発表は、特許庁HPでの公表で確認し、最終合格の発表は、特許庁現地発表で確認しました。
 おそらく、他の合格者の方々は逆のようでして、論文を現地で確認し、最終合格をHPで確認する、というかたが多いようでした。
 私の場合、合格年の論文試験では、絶対合格したいという思念が異常に強かったため、仕事中に抜け出して特許庁に現地発表を見に行く、ということもできましたが、もし不合格だった場合、その後の仕事に影響が出てしまうだろうということで、帰宅後にHPで確認することにしました。帰宅後もなかなか発表を見ることができず、思い切って見たのがなんとその日の夜中です。

 兎にも角にも、合格者の皆様、合格おめでとうございます!
 そして、合格できなかった皆様も、諦めることなく来年の再挑戦を応援しております。
 私の場合でいうと、合格するまで長年を費やしています。短答試験も以前よりも広範囲化かつ難化していますし、私の場合1点に泣いて1点に笑うという文字通りの経験をしています。
 中には、1、2年で合格する、という優秀なかたもいらっしゃるようです。合格までは早いことに越したことはないのかもしれません。
 ただ、こんなことを言うのは負け惜しみというわけではありませんが、ある程度の期間を費やして試験勉強を行った方が、頭への知識の定着の程度がずいぶんと違うように思います。
 そうはいっても、弁理士試験の勉強は大変です。「諦めたらそこで終わりだよ。」というリアルタイム世代である私の頭の中で“アンザイ”先生がささやき続けていました。受験勉強中は終わりのない薄暗い霧の中を進んでいる気分にもなったりすることも多いです。”実は合格していなかった・・・”という夢を私は今でも見ます。
 でも、合格したときは、苦労した分それだけ喜びも大きいはずです。どうか挫けず頑張っていただきたいと思います。

 さて、最終合格を果たすと、ほとんど休む間もなく1か月後には「実務修習」の教材が山のように詰め込まれた段ボールが自宅へ届きます。

(1)まず、教材の一覧を参照しながら、テキスト・その他書類がすべて揃っているか必ず確認してください。

 私の場合、起案の注意事項等の書類およびレターパックが一式入っておらず、問い合わせのうえ至急再配達をしてもらい、ことなきを得ました。「起案」は実務修習を終了するための最重要案件です。必ず確認していただきたいと思います。

 教材が届いてから間もなく、最初の起案(特許・実用新案)の提出期限が迫ってきます。教材が届いた日から2週間もありません。なので、早めに着手することをお勧めします。
 私のときは、PCで作成した起案をプリンタでプリントアウトし、その書面をレターパックで郵送するという方式でした。DXの時代でプリンタを使うこともあまりなくなってきたため、所有していたプリンタを既に廃棄していました。仕方なく近所のコンビニのネットワークプリントサービスを利用してプリントアウトしていました。
 プリントアウトした後に見直しをしていたら、小さなミスや抜けを発見して、夜中に何度もコンビニへプリントアウトしに行く、ということをしていました・・・。
 今年はどういう方式で起案を提出するのかはわかりませんが、とにかく早めの着手です。

(2)起案提出で注意しなければならないのが「再提出」があり得るということです。さらに、レターパックは「再提出」をしない場合の枚数しかありません。したがって、「再提出」の場合は、自前でレターパックを用意しなければなりません。ただし、複数の起案をまとめて1枚のレターパックで提出することも可能なので、うまくやりくりすれば、既存のレターパックで足りると思います。

 さらに、意匠、商標の起案提出は注意です。

(3)意匠・商標の起案提出は、特許・実案に比べて異常に提出期限が短いです。最後の特許・実案の起案の期限日から10日くらい後に、意匠の2起案の提出期限となり、その3日くらい後に、商標の2起案の提出期限です。

 特許事務所に勤務しているかたや、企業の知財部に勤務しているかたは、特許の実務に慣れているため、特許・実用新案の起案の作成はとっつきやすいかもしれません。ところが、意匠・商標の実務はほぼ0のかたが多いと思います。私もそうでした。したがって、意匠・商標の場合、調べなければならないことがとても多いです。しかも、提出期限の異常な短さです。気を付けていただきたいと思います。

 実務修習では「起案の提出」のほかに、「集合研修」と「eラーニング」があります。

(4)「集合研修」は、起案を既に提出していることが前提となりますので注意してください。

 私の頃はCOVID-19の最中でしたので、集合研修はオンラインによる実施でした。
 集合研修では何をするかというと、①予め割り当てられている教材の解説、②起案の解説、③グループワークによる課題の実施、④グループごとの発表、というおおまかな流れで進められます。
 グループワークは、最初に、司会、書記、発表者を決めたうえで課題を行います。私の場合、書記を多くやりましたが、結局一番大変なのが書記だったような気がします。
 集合研修は、1日長時間の拘束になりますので、適宜水分補給などして体調管理を万全にしてください。

(5)「eラーニング」は全部で50時間近くを要します。隙間時間を見つけて、とにかく早めに済ませましょう。

 eラーニングは当然ですがオンラインでの受講となります。「50時間近く」というのは、そのままストレートに視聴した場合の時間です。テキストを見ながら進めますので、わからないことがあれば聞き直したり、一時停止して考え込んだりすることもあるかと思いますので、実際には倍近く時間がかかるのではないでしょうか。しかも、

(6)「eラーニング」は1.5倍速、2倍速などの「倍速」で視聴ができません

 つまり通常のスピードでしか視聴できず、途中で適宜設問も出題されますので、再生した状態で放置することもできません(当然そのようなことはするべきではありませんが)。視聴期限もありますので、その期限間近に倍速で一気に視聴してしまう、という芸当もほぼ不可能なので、早めに視聴を終了してしまうことがよいと思います。

 やっとの思いで弁理士試験を潜り抜けたところで、最初の関門として「実務修習」が立ちはだかります。
 寒い季節のふんばりどころです。応援しております。

Follow me!